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後藤屋さま:二物考(にぶつこう)

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求肥に包まれた梅あんと胡桃あん

 「梅のかおりふわりと口の中に優しく広がる梅あんコクと旨味じんわりと伝わるくるみ餡が、唇に優しく柔らかい”ぎゅうひもち”包まれています。

 雰囲気のよい竹皮を模した包み紙の中には何が入っているのだろう…?小さなお餅が2つ、それぞれ串に刺さっています。薄っすら透けて見えるピンクと茶色の餡、ひとつは『梅あん』もう一つは『胡桃餡』餡です。求肥の周りには『寒梅粉』が塗してあり、口当たりがとても滑らかで餡の風味と共にすっと喉の奥へと流れ消えていきました。あと味爽やかな後藤屋さんの『二物考』という御菓子です。 

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☝梅あんの清涼感と胡桃餡のコクがたまりません。

 

地域を大切にする後藤屋さまのネーミング

 後藤屋さまのお菓子には地域にまつわるネーミングが多く二物考は高野長英、大風呂敷は後藤新平、麦つき節は地域に伝わる民謡からです。お菓子と名前がしっかりとリンクさせるイメージを伝えながら作り込む作業は中々難しいものだと思いますが、後藤屋さまのお菓子はイメージを伝える以上に偉人や地域への想像を膨らませる魅力があります。ひと口食べて地域や偉人を調べたくなる気持ちが湧いてきます。

 僕の経験ですが、商品のネーミングって本当に難しいと思います。考え過ぎると独りよがりになってしまい『思い』が伝わりません。奇を衒ったネーミングは昔の暴走族に良くある英語を漢字変換したようになります。あまり深く考えないで付けたのがヒットしてしまい、顧客から『ネーミングの由来は?』と聞かれた時は後からそれっぽい理由を付けて帳尻を合わせ何を逃れます。何れにしても地域にまつわる文化や人名を商品名にする場合はしっかりとそれらを理解した上で熟慮しないと直ぐにメッキがはがれてしまいます。そういう意味で後藤屋さんの『二物考』『大風呂敷』『麦つき節』の商品名は作り手の思いがしっかり伝わるお菓子だと思います。

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☝お餅を串に刺すひと手間が素敵ですね。

 

二物考ってなんでしょう?

 後藤屋さまの『二物考(につぶこう)』は郷土の偉人『高野長英』の著書『二物考』が由来と包み紙に書かれていました。あっそうなの...と食べてしまうのも全然アリですが折角なのでほんの少し調べてみました。

 高野長英は現在の奥州市水沢生まれです。高野長英は、後藤新平齋藤實出身の地であり水沢三偉人の一人です。江戸後期の医者・蘭学者であり、幕府の異国船打払い決定に異を唱えたことで捕らわれの身となり、ましたが放火に乗じて脱獄し逃亡生活を続けましたが、その後捕縛されそうになり46歳で自ら命を絶ちました。

 長英の著書に『二物考』があり、二物は『蕎麦』と『馬鈴薯』を表しています。度々飢饉に見舞われる状況下において、幕府の従前的な対策である、饉時に蔵を開き穀物を民衆に施し、義援金により救済したり、米価を制限する従前的な飢餓対策を行うより、冷害に強い早生蕎麦や馬鈴薯の栽培を日頃から行い飢饉に備えるべきである…というのが『二物考』の内容です。更に二物考には蕎麦や馬鈴薯の栽培法のみならず種類・効能・調理法まで記載されています。如何なる自然環境においても常に飢饉に対する準備を日頃から備えておきなさいという事が高野長英の考えです。

 また長英は公衆衛生についても『避疫要法』において詳しく書き示しており、手洗いや、今でいう三蜜の危険についても書き残しています。

 長英が自害したのは1850年46歳のとき明治維新まであと18年です。生きていれば新政府の要職につけたと想像できるのですが、維新までの18年間を大人しく黙っている事は長英には出来なかっただろうな...と想像してしまいます。

 

 

参考:静岡県立中央図書館『救荒シリーズ・温故知新』

https://www.tosyokan.pref.shizuoka.jp/data/open/cnt/3/354/1/SZK0002699_20040929055624984.pdf

高野長英記念館ホームページ

www.city.oshu.iwate.jp

 

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☝店頭にて『二物考』を発見...何だろう?と思い名前と中身を想像してしまいました。

 

後藤屋さまの『二物考』美味しさと学びの機会を頂きました。

ごちそうさまでした!

 

後藤屋本店さま:奥州市水沢大町78

 

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